映画記録「湯を沸かすほどの熱い愛」

伏線だけでできている

まずもって物語の構造の美しさに感激しました。作りこまれていて、「作品」という言葉がぴったり。どのカットにも物語振興のための意味があって、雰囲気を醸すだけのぽわぽわした時間がありませんでした。物語そのものが濃密だった。

そして、登場人物も無駄がなかった。脇役がいないの。みんなそろって完結するようになっている。だからこそ、泣けるところでしっかり泣けるのかな。

テンポも良くて、嫌味な展開もなくすごくお気に入りの映画です。

そして何より、どの登場人物も好感がもてる。主人公の幸野双葉(お母さん)の強さとやさしさにとても励まされる。そして、タイトルにある「熱い愛」。娘が学校でいじめに遭っていて、それでも朝、「学校に行きなさい!」とあずみを叩き出し、帰宅するまで心配し続けるシーンには、よく出来すぎた人間すぎて、現実味が感じられなかった。それでも泣いたけどね笑

大好きなシーンは色々あるけど、(いや、大好きなシーンしかない)制服を盗まれたあずみ教室で体育着を脱いでがお母さんからもらった水色の下着一丁になったその立ち姿は圧巻だった。かっこよすぎる。思い出すと涙が出てくる…

あのときお母さんからもらった下着は、名前通り「勝負下着」だったね。

そして全編を通じてあずみ役の杉咲花の表情が最高だった。何回泣かせるんだよ~ 体も張るし、応援したい女優さんです。

実母に面会を断られたとき、門の外から瀬戸物の犬の置物を投げつけたシーンはとがった怒りというよりも、子供っぽく拗ねた気持ちを感じた。そして、「車乗れ!」と叫ぶ探偵さんに背負われる後姿には愛嬌があった。結構好きなシーンだなぁ。

 

ラストシーンは序盤のかまどのシーンで薄々気づいちゃったから、「うわあやっぱりか」とがっかりしたけど、本当にやっちゃうのか!とびっくりした。

葬式がなんだかみんなの新生活の出発点のように感じられる、希望にあふれる終わり方でした。双葉がいなかったら実現しなかった、あったかい銭湯。