読書記録『しろばんば』(新潮社・井上靖)

 

ものを知ることの侘しさ

湯ヶ島で少年時代を過ごした洪作の生活を、少しうらやましいと思った。

小1~小3のころ、子供の間で起こっていることが、自分にとっての全世界で、

楽しいことや面白いものを見るのに大忙しだった。

その中で、自分の抱いた感情、大人からの扱われ方や投げかけられた言葉に

いくつかの発見と成長をする。

ゆっくり、しかし避けられぬ心の変化は、読者にとって成長を見届ける喜びでもあり、また二度と戻れない時期への寂しさもを感じさせるものであった。

おぬい婆さん、上の家といった親戚の人との微妙な距離感の違いを分別し、自分がどう振る舞えばいいかをゆっくり習得するその様に、不自由なものは感じなかった。

大人になっていくこと。それは甘酸っぱい。その複雑な機微を味わえる本です。

ということで、今後井上靖の読破を目指します!